
営業プロセスを考える上で、見込み顧客を対象にしたインサイドセールスと、既存顧客を対象にしたカスタマーサクセスの違いを押さえ使い分けることは重要なポイントです。インサイドセールス、カスタマーサクセスの成功の秘訣とそれぞれの特徴を徹底解説していきます。
目次
インサイドセールスとカスタマーサクセスの違い
インサイドセールスとカスタマーサクセスはビジネスにおけるマーケティングの手段として注目されている手法です。しかし一方で両者の違いをよく理解しないまま現場に採用すると、混乱が生じたり、あるいはせっかく導入しても十分な成果が得られないといった問題も出てきます。まずは、この両者の違いを明確にしていきましょう。
インサイドセールスは見込み顧客をメインターゲットとしているのに対して、カスタマーサクセスの方は既存の顧客をターゲットとしているという大きな違いが見られます。そのため、新規顧客の獲得や新しい分野への進出を図る場合にはインサイドセールスを重視する一方、獲得した顧客をフォローアップしつつ固定客・リピーターへと育成していく場合にはカスタマーサービスを重視する必要があります。
どんなビジネスにおいても新規顧客と既存顧客のフォローアップは欠かせないものです。いくら新規顧客の獲得で成果を上げてもフォローアップをしっかり行わなければ安定した売上・業績を確保するのが難しいですし、逆に既存の顧客ばかりに目を向けて新規顧客の獲得をおろそかにしていると業績はどんどん先細りしていきかねません。
この両者の違いをよく踏まえたうえで両方バランスよく行っていく必要があります。そしてビジネスの複雑化、多様化によってこの両者を分業して行っていくケースも増えてきています。
インサイドセールスとカスタマーサクセス分業化の背景
インサイドセールスとカスタマーサクセスはなぜ分業する必要があるのか?この分業化の背景には、マーケティング活動の多様化が進んだ現代のビジネス事情が深く関わっています。
DX化が進んだビジネス事情の変化
様々な企業でDX化が進む現代では、それ以前に比べて既存顧客のフォローアップが格段にしやすい状況になりました。例えばメール配信ツールを活用してメルマガを配信することで最新情報を効率的に提供することができ、それによって既存顧客の興味を引き付け、継続的に商品・サービスを購入してもらえる機会を作ることができます。
一方でリード獲得においては、従来にも増してデータを駆使した手法が求められるようになっています。漠然と公式サイトから情報提供をする、どこかしらに広告を出す、といったやり方だけでは十分に効果を得られない状況になってきています。
ネット上には膨大な情報が溢れているため、単に情報提供をするだけでは本当に訴求したい内容が埋もれてしまいます。それを防ぐためにも顧客データの管理ツールなどを活用しターゲティングをしっかり行う必要があります。
カスタマーサービスの重要性の高まり
カスタマーサービスの普及により顧客への対応がしやすくなった一方で、頻繁な問い合わせに迅速に対応することが求められるようにもなっています。リードからの問い合わせと既存顧客からの問い合わせを同時に行っていると、業務の効率の低下とトラブルに繋がる恐れがあります。これから顧客になってくれそうな見込み顧客を対象にした問い合わせ対応と、既存の顧客からの問い合わせ対応を分業化することでよりきめ細かな対応が可能になります。
このようにビジネスのDX化・Webマーケティングの複雑化や多様化がマーケティング手法の個別化を求め、企業はそれに合わせたアプローチが求められるようになっています。インサイドセールスとカスタマーサクセスの分業化の傾向にはこうしたビジネスシーン全体の傾向が深く関わっています。
インサイドセールスのメリット・デメリット
インサイドセールスが現在のビジネスシーンにおいて脚光を集めつつある背景には、業務の効率化を実現しつつマーケティングのパフォーマンス全体の向上が期待できる面が挙げられます。具体的なメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリットその1:アプローチの機会を増やせる
インサイドセールスのメリットとしては、直接対面する機会を作らないことでアプローチそのものの数を増やすことができる点がまず挙げられるでしょう。直接相手先に訪問する場合、移動のための時間がかかってしまいます。しかしインサイドセールスならメールのほか電話、さらにはオンライン会議ツールなどを通してアプローチを行うため、移動の負担を大幅に削減できます。簡単に言えば担当スタッフが働く時間のすべてを営業のコア業務にあてることができます。
アプローチをかける件数が多くなればそれだけリード獲得の増加も期待できる点が、インサイドセールスの基本的な大きなメリットと言えるでしょう。
メリットその2:より幅広い層にアプローチできる
商談の数を増やすことに密接に関わっているのが、見込みの高いリードになる前の潜在顧客に対しても気軽にアプローチできるメリットです。直接訪問するフィールドセールスの場合、移動にかかるコストを考えたうえで見込み顧客のランクづけを行う必要が出てきます。この顧客は時間と労力をかけてまで営業をかける価値がないと判断した場合には、アプローチの機会そのものを喪失してしまうことになります。
しかし直接訪問・対面しないインサイドセールスの場合、このようなフィールドセールスでは対象外になってしまう顧客にも積極的にアプローチをかけることができます。
購買意欲や関心が高まる前の顧客に対しても積極的にアプローチをかければ新たに興味を持ってくれる可能性は十分にあります。こうした潜在的なリードを掘り起こすことができるのもインサイドセールスの大きなメリットでしょう。
メリットその3:コスト削減効果
もうひとつ重要なメリットは、フィールドセールスに比べて人材育成のコストがかからない点です。対面での営業ともなるとビジネスマナーやコミュニケーション術といったさまざまなスキルが求められるようになります。新人ともなるとしばらくの間は先輩が同行したうえで仕事を覚えさせる環境が必要になるでしょう。訪問・対面を必要としないインサイドセールスの場合は、このような教育・育成の時間・コストを大幅に削減できます。
またインサイドセールスの場合、顧客管理ツールなどを活用して顧客データを簡単に管理・把握したうえで営業をかけることもできます。こうしたMAツールのような利便性の高いツールを有効利用できる点も教育にかけるコストを避ける効果をもたらすでしょう。
デメリット:導入にコストがかかる
デメリットとしては、ツールなどを活用した効果的なセールスが可能な環境を整えるのにコストや時間がかかることが挙げられます。また、インサイドセールスの部門を内製化する場合は、人材の採用や育成にも時間とコストがかかります。
カスタマーサクセスのメリット・デメリット
カスタマーサクセスには顧客との関係を深めつつ継続的な売上・業績を確保できる、あるいはサービスの向上に役立つ効果などが期待できます。では具体的にどのようなメリットがあるのか、デメリットも合わせて見ていきましょう。
メリットその1:LTVの向上に役立つ
一方、カスタマーサクセスのメリットとしてまず筆頭に挙げられるのが、顧客生涯価値(LTV)の向上です。これは顧客から自社のサービスの利用、商品の購入をはじめてから利用を終えるまでの間にどれだけ自社にメリットをもたらしてくれるかを示す指標のことです。
当然のことながら長く継続的にサービスを利用し、商品を購入し続けてくれる顧客ほどこのLTVが高いことになります。
カスタマーサクセスで既存顧客のフォローアップをきめ細かに行うことで、LTVを高めることによって、業績の安定化をもたらすことができます。例えば新製品の開発・販売の際に既存顧客がどのくらい購入してくれるかを正確に把握することができれば開発やマーケティングの予算を適切に決めやすくなり、リスクを減らしたうえで積極的なサービス・製品の開発ができるでしょう。
メリットその2:顧客からのフィードバックによる改善の余地
もうひとつの重要なメリットは、やはり既存顧客からのフィードバックが得られる点です。サービス・商品の満足度をチェックし、評価された点、不満をもたれた点を把握することでサービスの改善や新たな製品の開発に役立てることができます。とくに既存顧客の意見は自社の特徴をよく知ったうえでの内容になるので価値が高くなります。
このようなフィードバックを通して、サービス・商品の改善を目指していくことで顧客満足度を高めつつ解約率を下げ、さらにはブランドイメージの向上にも役立てられるでしょう。
デメリット:対応できる人材の確保が欠かせない
デメリットに関しては、ここでも情報共有のためのツールなど環境を整えるのに時間がかかること、そして既存顧客の問い合わせに対応できるだけのトークスキルやキャリアを備えた人材が必要になる点などが挙げられます。
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インサイドセールスとカスタマーサクセス成功の秘訣
このような特徴やメリット・デメリットを踏まえたうえで、インサイドセールスとカスタマーサクセスの両方をうまく駆使して業績アップに結びつけていくことになります。その成功の秘訣としては両者のデメリットとして挙げた人材確保やツールなどの環境の整備が挙げられるでしょう。
特に顧客情報の管理とその情報を共有するためのツールの整備が不可欠です。この2つのマーケティング活動では、スタッフによって成果に大きな差が出てしまうのを避けることが重要になってきます。俗人化を防ぎ、誰が対応しても最低限の成果が得られる環境が求められます。そのためにもスタッフ全員が顧客データはもちろん、それまで得たフィードバックなどの情報も共有し、全員が同じアプローチを続けられる環境が望ましいといえます。
また、このような環境を整えることで人材育成の効率もアップし、インサイドセールス、カスタマーサクセスともにスムーズに業務が進められる職場環境を築いていくことができるようになるでしょう。
効果的なリードの獲得と育成を目指そう
インサイドセールスとカスタマーサクセスの違いやそれぞれの特徴を解説しながら成功の秘訣を紹介しました。インサイドセールスによって効果的なリード獲得を実現しつつ、獲得した見込み顧客を育成することでLTVの向上を目指す。これが長く安定した業績を確保するための秘訣といっても過言ではないでしょう。まず双方を分業化しつつ、それぞれが部署全体で情報を共有できる環境の構築を目指してみましょう。
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