営業メールを送る際、その件名は受け取った相手に大きな影響を及ぼします。開封率を向上させるためには、件名を工夫することが必須です。
そこで、営業メールで開封率を上げる件名の具体的な例やポイントを紹介します。

営業メールにおける件名の重要性

相手にとって、営業メールの件名は自社との最初の接点となります。したがって、その重要性は計り知れません。相手の注意をひくような効果的な件名を考えることが、成功への第一歩と言えます。

多くのメールが開封されない現実

営業メールの件名の重要性を語る前に、まず理解しておくべきは、ビジネスの現場には無数のメールが溢れており、そのうちの多くが読まれずに削除されてしまうという現実です。件名が受信者の注意を引くことができなければ、そのメールは目を通されることすらないかもしれません。これは、件名が営業メールにおいて極めて重要な役割を果たす理由です。

件名が与える第一印象

件名は、受信した相手がそのメールを開封するかどうかを左右する最初の印象となります。メールを開封してもらうには、相手の興味を引くような内容のわかる明確な、かつ、魅力的な件名であるべきです。
この件名に潜む力は、単に目に留まるかどうか以上の意味を持ちます。相手が日常的に受け取る大量の営業メールのなかで、どのメールが価値がありそうだと感じられるか、また、どれが読む価値もないと無視されるかは、その件名がどれだけ相手のニーズや関心事に訴えかけるかに依存しています。

件名における具体性と説得力

件名における具体性と説得力は、営業メールが開封されるかどうかを決める重要な要素です。具体的な件名であれば、相手はメールを開く前にそのおおよその内容を推測することができます。それが相手のニーズや関心事に合致している場合、メールは即座に開封されるでしょう。具体性の高い件名ほど、相手はメールに含まれる情報や提案が自分の現在の状況やニーズにどのように合致するかを瞬時に判断できるため、開封への強い動機付けとなるのです。
また、説得力のある件名は、単に興味を引くだけでなく、相手に行動を促す力を持っています。説得力を持たせるには、件名に緊急性を含めるか、相手に直接的な利益や解決策があることを提示すると効果的です。
このように、相手の関心を引きつけ、信頼を築き、最終的には行動に移すよう促すには、最初の営業メールから具体性と説得力を兼ね備えた件名を付けるべきなのです。

開封率が上がる件名のポイント

開封率を高めるためには、細心の注意を払って件名を付ける必要があります。ここからは、効果的な件名を作成するための具体的なポイントを紹介します。

ポイントその1：相手のニーズに応じたキーワードを使う

営業メールの件名において最も効果的なアプローチの一つは、受信する相手の具体的なニーズや興味に直接訴えかけるキーワードを使用することです。たとえば、業界固有の用語や緊急を要する問題解決の提案など、相手が現在直面していそうな課題に関連する言葉を選ぶことで、そのメールが重要であるという認識を促すことができます。

ポイントその2：なるべく簡潔にする

相手が直面していそうな課題に関連するキーワードを使用すると述べましたが、そのキーワードの効果を最大限に高めるためにも、件名は簡潔であるべきです。
メールが大量に送受信される現代のビジネスシーンにおいて、冗長な件名は避けるべきです。簡潔な件名のメールなら、相手も一目でその内容を把握できます。メールを受け取った人は、メールボックスを素早くスキャンして、興味を引くものだけを選ぶ傾向があるため、件名が長すぎるだけで読み飛ばされやすくなるのです。短くて具体的な件名は、その限られたスペースで最大のインパクトを相手に与えます。

ポイントその3：相手に行動を促す文言を含める

営業メールの件名に行動を促すような文言が含まれていると、受け取った相手がメールを開封するきっかけとなります。たとえば、相手に明確な行動や参加を促す「ご回答をお願いします」や「短いアンケートにご協力ください」といったフレーズです。
これらの言葉が効果的なのは、相手に具体的な行動を提案しながら、メールの内容が直接的な利益や解決策を提供していることを暗示するからです。このように呼びかけられると、相手はメールを開いてみようという気持ちになります。

ポイントその4：過剰な表現を避ける

スパムメールと誤認されないように、過剰な表現や誇大な言葉を避けましょう。たとえば、「無料！」や「一度限りのオファー！」などの文言が入った件名の場合、メールのスパムフィルタに引っかかる可能性があります。また、フィルタに引っかからなかったとしても、受け取った相手に不信感を与えるリスクがあります。

ポイントその5：数字やデータを含める

数字や統計データを件名に含めることで、メールの具体性と価値を示し、受信者の注意を引くことができます。たとえば、「売上が昨年比20%増加—詳細をご確認ください」といった具体的なデータを提示することで、相手がその情報に価値を感じると、メールを開封してもらえる可能性が高まります。

【シチュエーション別】件名の付け方

営業メールの件名の基本は以上ですが、具体的にはシチュエーションに応じて相手に最適なメッセージを届けるように件名もカスタマイズする必要があります。そこで、相手の関心を引き、期待するアクションを促すような件名の付け方をシチュエーション別に見ていきましょう。

初めてメールを送る場合

初めてメールを送る相手には、件名が第一印象を決定づける重要な要素となります。この場合、件名には相手の興味を引く要素を盛り込み、信頼性を感じさせる内容を含めることが重要です。たとえば、「（会社名）の最新ソリューションのご紹介」や「（業界名）での成功事例にもとづいたご提案」といった具体的な内容を示すことで、相手が興味を持ちやすくなります。重要なのは、件名が簡潔で明確であり、相手にとって価値があると感じられる内容を伝えることです。

継続的な連絡の場合

すでにメールのやり取りをしたことのある相手には、件名で関係性を強化しつつ、現状の確認や進捗の確認を行うことが重要です。この場合、件名には以前のコミュニケーションやプロジェクトの進捗に関連するキーワードを含めるとよいでしょう。「先日のご提案についてのご確認」や「進捗状況のアップデートと今後のステップ」などの件名を用いることで、相手に状況を把握してもらいやすくなります。

新たな価値を提案する場合

新しい提案や改善点を提示するメールでは、件名にその価値や重要性を伝えることが求められます。ここでは、件名が相手にとってどのようなメリットがあるのかを具体的に示すことが大切です。たとえば、「業務効率を25%向上させる新提案」や「年間コスト削減15%を実現する改善案」といった件名が考えられます。こうした件名だと、相手に具体的な利益をもたらすことを明確に伝えるため、開封されやすくなるでしょう。

問い合わせや資料請求に返答する場合

問い合わせや資料請求に対する返答メールの件名では、相手が必要としている情報を端的に示すことが重要です。相手が何を求めているのかを正確に反映した件名をつけることで、メールが即座に開封され、期待される内容が伝わります。たとえば、「（問い合わせの具体的な内容）に関する詳細情報」や「資料請求のご対応について」などです。

営業メールの件名で注意する点

営業メールの件名は、メールが開封されるかどうかを左右する重要な要素です。しかし、効果的な件名を作成するには、単に目を引くだけでなく、受信者の信頼を維持し、適切なメッセージを伝えることが求められます。

明確で簡潔な件名の重要性

営業メールの件名は、できる限り簡潔で明確にすることが重要です。冗長な表現や曖昧な言葉を避け、メールの主旨が一目で理解できるようにすることで、受信者はそのメールに対してより強い関心を持ちます。たとえば、「業務効率を20%改善する方法のご案内」」といった具体的な内容を簡潔に伝える件名の方が、「お時間をいただきたくメールをお送りします」などの曖昧な表現よりも、はるかに効果的です。
件名は、相手がメールの重要性を判断するための最初の手がかりです。無駄な言葉を省き、要点を的確に伝えることを意識しましょう。

件名と本文の整合性を保つ

件名で示した内容がメール本文と一致しない場合、相手の信頼を損なうリスクがあります。たとえば、件名で「重要なお知らせ」と記載しておきながら、実際には重要度の低い内容であった場合、次回以降のメールは開封されなくなってしまうでしょう。逆に、件名が適切にメールの内容を反映していると、相手はそのメールが自社にとって価値のあるものだと感じやすくなります。
したがって、件名と本文の間には常に一貫性を持たせ、誠実なコミュニケーションを心掛けることが大切です。それが相手との信頼関係構築の第一歩ともなります。

ターゲットに応じたトーンと表現を使う

営業メールの件名は、ターゲットとする層に合わせたトーンと表現を選ぶことが必要です。技術者向けのメールには専門用語を使用するのが適切ですが、経営者層に向けたメールでは、より戦略的でビジネス的な表現が求められます。
また、メールのトーンが相手の期待に沿っているかどうかにも注意しましょう。過度にカジュアルだったり、逆に硬すぎたりすると、相手に違和感を抱かせてしまいます。
このように、営業メールには、ターゲット層に応じて適切なトーンと表現を選ぶことが大切です。

効果的な件名のポイントを押さえて営業の成果に繋げよう

営業メールで開封率を上げる件名の付け方について、具体的な例やポイント、注意点について解説しました。これらのポイントを押さえて件名を工夫することで、相手の関心を引き、メールの開封率を大幅に向上させることができるでしょう。営業メールの開封率が上がることで、営業活動全体の成果にもつながります。

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この記事の投稿者

新井 学（Manabu Arai）

2015年創業のインサイドセールス支援会社、株式会社ビズリンクスの代表。
営業オンラインアシスタント『セリーズ』、リード獲得サービス『リードコンシェル』を運営。 インサイドセールス、マーケティング、クリエイティブと企業成長を支えるビジネスサイドを幅広く支援。
法人営業20年、前職ではワークスアプリケーションズの営業責任者を務めるなどエンタープライズセールスの経験も豊富。