ビジネスで成功するためには、顧客のニーズを正確に把握することが欠かせません。しかし、ニーズとウォンツの違いを正しく理解していないと、顧客に本当に必要なものを提供できないこともあります。そこで、「ニーズとは?」についてウォンツとの違いや営業に活かすポイントを解説します。
目次
ニーズとシーズの違いは?
まず、「ニーズ」と「シーズ」という2つの概念の違いを明確に理解することは、商品・サービスの開発や営業活動を効果的に行うために重要です。顧客のニーズに応えることで市場の需要に応え、シーズを活用して新たな価値を提供することがビジネスの成長につながります。この2つの概念の違いと、それぞれどのように営業活動に活かされるかを見ていきましょう。
ニーズとは何か?
ビジネスにおける「ニーズ」とは顧客が抱える問題や課題を解決するために必要とするものを指します。言い換えれば、顧客が求める「必要性」そのものです。ニーズは顕在化している場合もあれば、潜在している場合もあります。顕在的ニーズは顧客が自ら認識し、明確に表現するもので、たとえば、「効率を上げたい」「コストを削減したい」といった具体的な要望が挙げられます。
潜在的ニーズは、顧客が気づいていないが解決すれば大きな価値をもたらすものです。営業活動においては、この潜在的ニーズを見つけ出し、それに応じた解決策を提案することが競合との差別化を生む大きなチャンスとなります。ニーズを深く理解することで顧客との信頼関係を築き、長期的なビジネスの成功につなげることができるのです。
シーズとは何か?
「シーズ」とは英語の「seeds(種)」に由来する言葉で、企業が持つ技術やアイデア、リソースなどを指します。シーズは、まだ形にはなっていないものの、将来的に価値を提供するための「種」としてのポテンシャルを持つものです。ビジネスにおいてシーズは技術革新や新製品開発の源泉となります。
開発されたばかりの新しい技術やサービスのアイデアは、まだ顧客のニーズに完全にマッチしていないかもしれません。しかし、その可能性を活かすことで新しい市場を創造することができます。このように、シーズは企業が持つ技術的な強みやリソースを基盤に、将来的な成長や競争優位性を築くための重要な要素です。
ニーズとシーズの違い
ニーズとシーズの最も大きな違いは視点の違いにあります。ニーズは顧客視点であり、顧客が今抱えている問題や望んでいる解決策を指します。それに対してシーズは企業側からの視点です。企業が提供できる技術やリソースをもとにした将来の可能性を示します。
ニーズは、現在、顧客が必要としているものに対応するため、即時のアプローチが必要です。一方、シーズは、企業が持つ強みや技術をもとに未来の市場やニーズを見越して新しい価値を提案することに焦点を当てます。つまり、ニーズは既存の市場の要求に応えるものであり、シーズは新しい市場や価値を創造するための原動力となるのです。
ニーズとウォンツの違い
ニーズは、顧客が解決しなければならない問題や必須の要求、つまり、必要性にもとづいたものです。
一方、ウォンツは、顧客が求める欲望や希望にもとづいたものです。これは必ずしも解決しなければならない問題ではなく、「欲しい」と感じる要素を指します。たとえば、「より使いやすいデザイン」や「ブランドのステータス」といった付加価値がウォンツの例です。ウォンツを理解することは、顧客に対して単なる問題解決以上の提案を行い、より魅力的な価値を提供する鍵となります。
ニーズの種類
ニーズは一見単純に思えるかもしれませんが、実際にはさまざまな種類があり、ウォンツとも密接に関連しています。営業活動を成功させるには、顧客が抱えるニーズの違いを正確に把握し、それに合わせた提案が必要です。ここでは、ニーズの種類を具体的に解説します。
顕在的ニーズ
顕在的ニーズとは、顧客が自ら認識しているニーズのことです。これは、顧客が現時点で抱えている問題や課題を明確に理解し、具体的な解決策を求めている状態を示します。たとえば、「製品の品質を向上させたい」「人員を増やして業務効率を上げたい」といった要求が顕在的ニーズの例です。
営業活動で顕在的ニーズを把握することが重要なのは、顧客がすでに問題点を理解しているため、解決策の提案が受け入れられやすく、商談がスムーズに進む可能性が高いからです。顧客の課題をしっかりと聞き取り、最適な製品やサービスを迅速かつ的確に提供することが信頼を築く鍵となります。即効性のある提案を行うことで、競合との差別化も図りやすくなります。
潜在的ニーズ
潜在的ニーズとは、顧客がまだ自覚していない、または具体的に表現していないニーズのことです。顧客が「何か問題がある」と感じていても、その問題が何なのかを明確に把握していない場合、営業担当者がその潜在的ニーズを見つけ出し、顧客に気づかせる役割を果たします。たとえば、「もっと効率的に業務を進められるはずだが、具体的にどこが問題かはわからない」というような状況です。
潜在的ニーズを見つけるためには、顧客との対話を重ね、業務フローや現状の問題点を深く掘り下げる必要があります。顧客自身が気づいていないニーズを引き出すことができれば、その解決策を提供することで大きな価値を生み出すことができるでしょう。
緊急的ニーズ
緊急的ニーズとは、顧客が今すぐに解決を必要としている問題や課題に対するニーズです。このタイプのニーズは非常に短期間で対応を求められることが多く、営業担当者は迅速かつ正確な対応が必要となります。たとえば、システムのトラブルや製品の納期遅延といったビジネスの即時的な影響を受ける状況です。
緊急的ニーズに対応するためにはスピードと正確さが何よりも重要です。顧客は問題解決を期待しているため、無駄な提案や長期的な視点ではなく、即効性のある対応が求められます。
長期的ニーズ
長期的ニーズとは、顧客の将来に備えた計画や戦略にもとづいて抱くニーズです。今すぐ解決が必要ではないが、将来の成長や市場の変化を見越して準備しておきたいニーズのことを指します。たとえば、新しい技術の導入や業務プロセスの効率化、将来的な競争力強化を目的とした改善計画などが挙げられます。
長期的ニーズに対応するためには、顧客との信頼関係を築き、長期的な視点での提案を行うことが重要です。営業担当者は顧客が目指している未来像を把握し、それに対してどのような解決策が提供できるかを考える必要があります。そのためには、定期的なフォローアップや市場の動向を踏まえた提案がポイントです。
営業で顧客のニーズを理解する方法
顧客のニーズを正しく理解することは、営業活動の基盤となります。ニーズに応じた提案を行うだけでなく、ウォンツにも配慮することでより効果的な営業活動が可能になります。では、それにはどのような方法があり、どのような違いがあるのでしょうか。
顧客インタビュー
顧客インタビューは、顧客のニーズを直接確認できる最も効果的な手法です。事前に質問内容を準備し、顧客の現状や課題を深掘りすることで、顕在的なニーズだけでなく潜在的なニーズも引き出せます。会話の中で見逃しがちな情報を注意深く聞き取ることで、より具体的なニーズを把握することもできます。
アンケート調査
アンケートは、多くの顧客から定量的なデータを収集でき、幅広いニーズの傾向を把握するのに役立つ手法です。質問内容は明確でシンプルにし、回答者が答えやすい形式にすることがポイントです。アンケート結果を分析することで隠れたニーズや新たな市場の可能性を見出し、営業戦略に活かすことができます。
SNS
SNSは、顧客の声や反応をリアルタイムで把握できる貴重なツールです。顧客がどのような製品やサービスに興味を持っているか、どのような問題を感じているかを観察し、フィードバックを活用することで、潜在的なニーズを発見することができます。また、トレンドを素早くキャッチし迅速に対応することが可能なため、SNSを使った顧客分析は営業活動においても重要です。
ニーズをヒアリングするポイント4つ
顧客のニーズを正確に把握するためには、効果的なヒアリングが不可欠です。適切な質問を投げかけるだけでなく、顧客の背後にある要望や潜在的な課題を探る必要があります。ここでは、顧客のニーズを引き出すための4つのポイントを紹介します。
仮説を立ててヒアリングを行う
ヒアリングを行う前に、顧客のニーズに関する仮説を立てることで、会話の方向性が明確になり、質問の質が向上します。仮説をもとに質問を進めることで、ただ質問するだけではなく、顧客の回答を踏まえて仮説を修正しながら、より深くニーズを掘り下げることが可能です。これにより、無駄のない効率的なヒアリングができ、潜在的なニーズと顕在的なニーズの違いも把握しやすくなります。
ウォンツを掘り下げる
顧客のニーズだけでなく、顧客のウォンツにも焦点を当てることが重要です。顧客が望んでいることは必ずしも表面化しているとは限らず、感情や長期的な目標が絡むこともあります。ウォンツを掘り下げるためには、顧客の感情や未来のビジョンに目を向け、単なる解決策ではなく、顧客が本当に求めている価値を提案することが必要です。
傾聴を徹底する
ヒアリングの際に重要なのは顧客の話をしっかり傾聴することです。顧客が話したいことを自由に話せる環境を作り、途中で話を遮らずに聞くことで、顧客の本音や隠れたニーズを引き出しやすくなります。傾聴は、相手に「理解されている」という安心感を与えると同時に、営業側にとっても顧客の考えを深く理解するための重要な手法です。
具体例を引き出す
顧客のニーズを明確にするために、過去の具体的な事例や経験を尋ねることが効果的です。具体的なエピソードを引き出すことで、顧客の抱えている課題やニーズをより深く理解できます。また、その事例をもとに、営業側でどのような解決策を提案できるかを考える材料になります。
ニーズを理解して営業活動の効果を最大化させよう
今回は、ニーズとウォンツとの違いや、それを営業に活かすポイントについて解説しました。ニーズを正確に理解することで顧客に寄り添った提案が可能となります。仮説を立て、ウォンツを掘り下げるなど適切なヒアリングを通じて真のニーズを把握し、顧客と長期的な信頼関係を築きましょう。
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