見込み顧客を育成して、確度の高い商談の創出と受注率の向上などを図る「顧客育成(リードナーチャリング)」は、特にBtoBのビジネスにおいて効果が高いとして注目が集まっています。
メールやSNS、オウンドメディアなどリードナーチャリングの方法は様々ですが、いずれの場合も重要なのが、顧客と接触を図るタイミングや内容などの「シナリオ設計」です。今回はその基本的な知識とリードナーチャリングに欠かせないMA(マーケティングオートメーション)について解説します。
リードナーチャリングにおいてのシナリオとは?
リードナーチャリングにおけるシナリオの役割は、円滑かつ適切に見込み顧客が求める情報や熱量を上げられる内容のコンテンツを配信する方針や手順を示すことです。つまり、見込み顧客の属性や受注に至るまでのフェーズに合ったプロセスを「いつ」、「どのような」内容で発信するかを明確化することが大きな目的といえるでしょう。
リードナーチャリングのシナリオを設計するためには、売上高を前年度比120%アップといった「KGI」や、メール経由によるサービスページの流入ユーザーを月100件にするといった「KPI」といった目標設定を明確にして、チームで共有することが大切です。
さらに顧客の受注確度をスコアリング化して、受注確度の高い「ホットリード」の見える化、各属性のリードの心理状況をヒアリングやアンケートなどで把握します。それらの情報を元にペルソナを設定する必要があります。
リードナーチャリングのシナリオの作り方
リードナーチャリングのシナリオを作るには、まずはターゲットとなるリード情報を収集して「誰に向けて情報を発信するのか」を明らかにする必要があります。前述した顧客ヒアリングなどの定性的な方法のほか、Webサイトのアクセス解析によって興味が集まっているコンテンツの傾向などを知ることができます。
誰に発信すべきなのか明らかになったら、次は顧客の購入プロセスなどをまとめた「カスタマージャーニーマップ」を作成しましょう。カスタマージャーニーは顧客目線が重要なので前工程でまとめたユーザー像を詳細にまとめたペルソナ設定が欠かせません。会社の役職や立場、抱えている課題、住所、年齢、性別など細かな情報まで定めるのが重要なポイントの1つです。
カスタマージャーニーマップが決まったら、次は各段階のアプローチの方法や内容、タイミングなどを定めましょう。例えば「興味を持つ」、「調べる」、「比較する」、「購入する」というフローの場合、それぞれで必要な育成方法に適したアプローチを設定します。
■資料請求からのシナリオ
- 一通目:資料請求・ダウンロードのお礼
- 二通目:購入者の商品レビューを送付
- 三通目:購入前のFAQ(よくある質問と回答)を送付
- 四通目:期間限定のキャンペーン情報の告知
■展示会の参加者へのシナリオ
- 一通目:展示会のブース訪問のお礼と挨拶
- 二通目:名刺交換した人だけの限定情報
- 三通目:導入事例と課題解決(ソリューション)の紹介
- 四通目:次回の説明会、個別相談の告知
■休眠顧客のシナリオ
- 一通目:メルマガ限定のキャンペーン、新規サービスのリリース情報
- 二通目:一通目の詳細情報
- 三通目:お客様の声と導入事例
- 四通目:期間限定のキャンペーン情報の告知
リードナーチャリングにおけるMAの活用方法
リードナーチャリングはメールだけでなく、Web広告や電話、ホワイトペーパーといった複数の方法を組み合わせ行うことも珍しくありません。これらのシナリオを作成して都度効果検証し、PDCAを回すには多くの工数が必要になります。その全てをアナログで実施するには、時間と人件費などのコストが増大する可能性が高まるため、各プロセスを自動化する「MAツール」の活用が一般的です。
また、MAツールを導入することで顧客目線のアプローチを継続しやすくなるほか、リードの反応も数値化でき、施策をリアルタイムで実施できるので、機会損失の防止にもつながります。
リードナーチャリングは運用体制の構築が成功のカギ
リードナーチャリングのシナリオについて解説しました。リードナーチャリングは、導入はもちろん、円滑にPDCAサイクルを回せる運用体制の構築が欠かせません。オンラインアシスタントサービス「セリーズ(Selly-s)」はMAの導入支援からオペレーションまで、幅広くサポートしています。リードナーチャリングの導入や運用に課題がある際は、ぜひお気軽にご相談ください。