BtoBの営業の場合、BtoCとは異なる形での戦略を立てる必要があります。立案次第で大きく方向性が変わると共に、成果にも当然違いが出てきます。そこで今回は、BtoB営業を成功に導く戦略について、特徴や課題も合わせて解説していきます。具体的にどんな分析をしていったら良いのか、効率よく業務を進めるためのポイントも押さえましょう。
目次
BtoB営業の特徴
企業向けに製品・サービスを提供する場合と一般個人をターゲットとした事業では、さまざまな面で違いが見られます。その違いを明確に理解しておくことで、より適したアプローチを取れるようになります。
成約までの期間
たいていの場合、BtoB営業は完結するまでの期間が長くなる傾向にあります。企業活動そのものに関係する製品となれば、購入を検討する顧客は、メリットや予算だけでなく、自社のニーズや作業手法に合致するかという点を細かく確認しないといけないからです。また、競合する多くのサービスが存在するため、他社と比較検討するケースが多くなり、採用までに時間がかかってしまいます。また、最終決定までにかかる社内で承認を得るプロセスも多くなります。
取引金額が高額
BtoB営業では、一般個人向けの製品・サービスよりも、高額の取引となります。たとえば、1つのアプリであっても実際に現場で使用するアカウントは、数十から数百に上ることが多く、一回の納入でも使用者が多くなる場合が多いです。また、製品自体も複雑で高度な機能を持つことが多く、納入先ごとにカスタマイズする場合が多いため、単価も高くなる傾向があります。
意思決定ルートが複雑
一般個人の場合は、アプローチした相手自身が決定する場合がほとんどです。しかし、BtoB営業の場合は、直接商談をする担当者とは別に、直属の上司やさらにその上の経営陣にまで決裁判断が及ぶことになります。また、予算承認が別ルートとなっていることもあります。そのため、対面している一人だけを納得させれば良いというものではなく、その背後にいる意思決定者のことまで考えたアプローチをしないといけません。
BtoB営業の戦略に必要な分析方法
このように難易度の高いセールス事業を成功させるためには、的確な分析に基づいた戦略立案が求められます。実際に、どのような形で分析を進めていけば良いのか、いくつかの分析手法を考えてみましょう。
3C分析
3C分析というのは、「顧客」と「競合他社」、そして「自社」の3つの観点から分析する手法です。顧客がどのようなニーズを持っているのか、マーケットの中で競合他社はどんなサービスをどのくらいの価格で出しているのかを確認します。その上で、自社の立ち位置や個性、強みを知ることで差別化を図り、より深度の高いニーズを満たせるようにします。この分析手法は、マーケティング分野ではごく一般的なもので高い効果が実証されています。
4P分析
4P分析は製品に注目した手法で、「製品そのもの」、「価格」、「販売場所」、「プロモーション方法」の4つで分析をしていきます。製品自体の特徴を中心に置き、その売り方を効果的にしていくためにどうしたら良いかという点を考えることができます。製品やすでに決定されている価格から、どのような方向性で販売をしたら良いかを見極められるため、方向性を探るのに適した分析と言えるでしょう。
SWOT分析
SWOT分析は、マーケットにおける自社のポジションや強みを知るのに適した分析手法です。「強み」と「弱み」、「アプローチのチャンス」、「脅威」について分析を進めていきます。自社について客観的な分析をすることができると共に、他社との違いやリスクについても把握できるため、多角的な判断をするのに役立ちます。セールス担当者としても、実際にどんなポイントを強調して訴求したら良いかを理解しやすいので現場でも使えます。
STP分析
STP分析は、ターゲットを決めてどのようにアプローチしたら良いかを決めるのに役立つ手法です。「市場のセグメント化」、「ターゲティング」、「ポジショニング」という項目で分けて、マーケットの空白地帯を見つけ出します。こうすることで、より効率よくアプローチできる場所を見つけて、成果を着実に高めることができるでしょう。また、他社との差別化を図るためのポイントを探れるようになります。
BtoB営業を成功に導く戦略
上記のような分析の結果を踏まえつつ、自社としての戦略を立てていくことになります。その際には、いきなり「これをしよう」と決めるのではなく、いくつかのステップに分けて段階を踏んで考えることが重要です。
ゴールの設定
戦略は常に、最終的に成し遂げたいことへの道筋を付けるためのものです。そのため、まずはゴールをはっきりとさせる必要があります。この際、ビジョンとは違い、目標は誰が見てもはっきりと理解できるものにすべきです。たとえば、売上をどのくらいまで伸ばすという目標、導入社数や成約率の向上といった数字で表現できるものが良いでしょう。
課題分析
このような目標を達成するために、現在障害となっている課題を洗い出します。もしくは、新たな目標に進むために壁となりそうな問題を見つけ出します。その際には、3C分析や4P分析などを使って、製品やライバルについての課題を見ることも大事です。そして、現場で働く社員や顧客にアンケートを取って、生の声を聞くといった形も取れるでしょう。
ターゲット分析
ターゲットを決めると同時に、マーケット全体の動向とターゲット層についての分析をしていきます。企業規模や業種、地域などの要素から、ニーズや求める価格帯、必要な機能といった点を検討することができます。さまざまなデータを紐解くと共に、現場で商談相手からどのようなリクエストを出されたかといった点をヒアリングするのも一つの方法です。
指標の設定
このような分析を重ねることで、明確な方向性と具体的な手法が見えてくるはずです。それを言語化することによって目標を立てることができます。同時に、その目標の達成度合いを可視化できるようにします。そのためにも、KPIやKGIを設定しておくと、担当者がすべきことがはっきりと分かり、取り組みやすくなります。
BtoB営業のよくある課題
BtoB営業では、戦略に従って営業活動を進めていくことになっても、現場では思うように成果が挙げられないことがあります。その点で、現場でよくある課題を知っておくことはとても重要です。
営業の属人化
営業は個々の熱意やスキル、経験が成果になって出やすい分野でもあります。そのため、効果的なやり方を知っている担当者とそうでない人の差が出てしまい、手法が属人化してしまいがちです。また、多くの責務を負っている上司や担当者が休むと状況の確認がしづらくなるといった問題が起こることもあります。そのためにも、手法を標準化することが重要です。
事務作業が多い
顧客対応やプレゼン資料、請求書などの作成といった事務作業が多くて、本来業務であるお客様との会話ができないという課題も多くの現場で見られます。そこで、事務作業を効率化、可能であれば自動化させることが求められます。そのためのデジタルツールの役割は大きくなっています。
リード育成の難しさ
アポイントが取れても、そこからリード育成し良い関係を作ることに難しさを覚える担当者は多いはずです。そこには、様々な要因で見込み顧客とコミュニケーションがうまく取れないといった問題が絡んできます。そのためにも、スムーズで的確なコミュニケーションを取るためのツール活用をおすすめします。
BtoB営業戦略で押さえておきたいコツ
BtoB営業では、制約までに多くの作業と時間が求められます。そのため、プロセスと個々の業務を効率化させていくことが、戦略成功のカギとなってきます。ここでは、具体的に取り組むべき施策を紹介します。
アウトソーシングの活用
営業活動のいくつかのフェーズをアウトソーシングにすることで、自社で費やす時間や手間を削減できます。特にテレアポやメルマガ配信などは、アウトソーシングするメリットが大きいです。代行会社は、各分野に特化した専門的なノウハウを持っているため、アウトソーシングすることで、確実な成果を期待できるとともに、そのノウハウを共有してもらうことで自社で取り組める施策の可能性も広がるでしょう。
インサイドセールスに取り組む
BtoB営業においてオンラインサービスを主軸としている場合は、インサイドセールスを導入することで、営業活動の効率化を図ることができます。新たに戦略を立てるのであれば、同時に社内のデジタル化にも取り組み、新しい営業手法を導入するのも良いでしょう。
リード獲得ツールの導入
リード獲得と育成は、企業相手のセールスではとても重要度の高いフェーズです。そこで、顧客管理やコミュニケーションを取るための機能的なITツールを導入することは、フェーズの効率化を図るのに大いに役立ちます。また、社員の作業負担を減らしたり、機会損失を抑えたりするのにも効果的ですので、インサイドセールス導入に当たって新しいツールを検討してみましょう。リードを獲得するための主なツールは、「営業リスト作成ツール」、「MAツール」などが挙げられます。
★おすすめの営業リスト作成ツールと選び方や注意点についてはこちらの記事をご覧ください。
BtoB営業戦略はアウトソーシングも上手く取り入れよう
BtoB営業の特徴や成功に導くための戦略、押さえておきたいコツについて解説しました。
一件あたりの取引金額が大きくなる分、より高度でターゲットに合った手法とツールを選択していくことが成功のカギとなります。無駄を省き効率よく営業活動をしていくためにもアウトソーシングも上手に取り入れていきましょう。
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